「AかつB」「AまたはB」のように、複数条件を設定するために使うのがAND関数とOR関数です。
普段はIF関数との併用や条件付き書式を設定する際の活用方法が多く、特に指定したい条件が2つ以上あるときによく使われます。
この記事では、AND関数とOR関数の使い方について詳しくご紹介します。
まずはそれぞれの仕様を覚えてから、応用して使えるようになりましょう。
目次
AND関数を学ぶ
まずはAND関数について学んでいきましょう。
上記の画像を見ると分かりやすいですが、ANDは(2つ以上の)複数条件をすべて満たすデータのことを指します。
つまり、「Aの条件を満たし、なおかつBの条件も当てはまる」データに対してTRUEを返すのがAND関数です。
AND関数の使い方・引数・戻り値
Excelには約500種類の関数が用意されており、それぞれに決まった使い方(フォーマット)があります。
AND関数
- =AND(論理式1, [論理式2], ...)
AND関数は引数が必要で、論理式には条件を入力します。
全ての引数(論理式)が真となればTRUEを返し、それ以外はFALSEを返すという仕様になっています。
引数は最大255個を設定することができますが、2,3個の条件におさめた方が理解しやすい数式となります。
それでは、実際のデータを使ってより細かい使い方をみていきましょう。
データを用意してAND関数を実践する
小学生の入塾者に対して、「毎月の割り引き有無を決める条件」を設定する表を作成しながら実践していきます。
表には「学年」「入会プラン」「定期テスト」の項目があり、これらを使って複数の条件を設定します。
1.AND関数の論理式にあたる条件を整理する
今回は下記3つの条件をもとに、AND関数を使った数式をE列に入力していきましょう。
割り引き対象となる条件
下記の条件をすべて満たしていること
- 4年生以上であること
- 入会プランが「集団授業」であること
- 定期テストが60点以上であること
どれか1つでも当てはまらない場合は、割り引きを受けることができません。
2.各条件の数式を作成する
AND関数の引数には、条件を設定した論理式をいれなければなりません。
慣れてくればAND関数を入力しながらでも作成できますが、最初のうちは論理式(条件)を1つずつ考えていきましょう。
条件の数式
- 対象セル >= 4【4年生以上であること】
- 対象セル = "集団授業"【入会プランが「集団授業」であること】
- 対象セル >= 60【定期テストが60点以上であること】
このように、複数条件はそれぞれ独立して考えることができます。
AND関数と組み合わせるためには、これらの数式を引数にいれるだけなのでとても簡単です。
3.AND関数を用いて数式を入力する
作成した論理式とAND関数を組み合わせて、割り引き対象かどうかを確認していきましょう。
AND関数の第一引数に「B2>=4」、第二引数に「C2="集団授業"」、第三引数に「D2>=60」をいれましょう。
E2セルに「=AND(B2>=4,C2="集団授業",D2>=60)」と入力してEnterを押すと、結果(戻り値)がFALSEとなることが分かります。
確かに佐藤さんはどの条件も満たしていないので、想定通りの結果となりました。
小林さんまで割り引きの有無を確認したいので、E2セルの数式をオートフィルでE6セルまでコピーしましょう。
E3セルからE6セルまでの結果を確認すると、4行目の鈴木さんと6行目の小林さんが割り引き対象(TRUE)となりました。
4年生以上で集団授業を受け、定期テストが60点以上の2人が「TRUE」と出力されていることが確認できました。
このように、複数の条件を設定して、すべての条件を満たすか否かで場合分けするのがAND関数となります。
4.IF関数を使って分かりやすい表にする
これでも割り引きの有無を確認することができましたが、セルの結果に「TRUE」や「FALSE」と表示されているのはなんだか味気ない気がします。
そこでIF関数を使い、割り引きありの場合は「○」、割り引きなしの場合は「×」を表示するように改善しましょう。
IF関数は、第一引数の論理式の真偽によって、出力する文字列や数値などを変更することのできる関数になります。
こちらの記事でIF関数について詳しく解説しています。
続きを見る
【Excel】IF関数で分岐を実現する|ANDとORで複雑な条件にも対応
E2セルに「=IF(AND(B2>=4,C2="集団授業",D2>=60), "○", "×")」と入力したら、先ほどと同様にしてE6セルまで数式をコピーしましょう。
結果が「TRUE」だった鈴木さんと小林さんのE列にのみ、「○」と表示されることが確認できました。
このように、ANDやORは他の関数と併用されることが多い関数となっています。
OR関数を学ぶ
AND関数については詳しくなったので、続いてOR関数も学んでいきましょう。
なんとなく想像がついているとは思いますが、OR関数はAND関数とほぼ同じルールで使うことができます。
OR関数の使い方・引数・戻り値
OR関数は以下の書式となります。
OR関数
- =OR(論理式1, [論理式2], ...)
OR関数も論理式に条件を入力し、1つでも真となればTRUEを返し、すべての論理式が偽の場合はFALSEを返します。
AND関数と異なり、複数ある論理式のうち1つでも真であれば「TRUE」を返す関数なります。
入塾者の割り引き表をもとに、実際にOR関数を使っていきましょう。
データを用意してOR関数を実践する
1.OR関数の論理式にあたる条件を整理する
AND関数のときと条件は変えませんが、OR関数なのでどれか1つでも該当していたら「TRUE」を返すようになります。
割り引き対象となる条件
下記のいずれかの条件を満たしていること
- 4年生以上であること
- 入会プランが「集団授業」であること
- 定期テストが60点以上であること
適用範囲が拡大したので、より割り引きを受けやすくなりました。
2.各条件の数式を作成する
OR関数でも引数に論理式を入力します(最大225個まで)
条件の数式
- 対象セル >= 4【4年生以上であること】
- 対象セル = "集団授業"【入会プランが「集団授業」であること】
- 対象セル >= 60【定期テストが60点以上であること】
これらの論理式をOR関数の引数に入力していきましょう。
3.OR関数を用いて数式を入力する
AND関数を実行したときと同じように、F2セルに数式を入力します。
OR関数の引数も、第一引数に「B2>=4」、第二引数に「C2="集団授業"」、第三引数に「D2>=60」とします。
F2セルに「=OR(B2>=4,C2="集団授業", D2>=60)」と入力し、F6セルまでコピーしたものが以下の画像となります。
E列のAND条件では「×」となっていた加藤さんや森田さんも、割り引き対象となることが分かりました。
つまり、引数に入力したいずれかの論理式が真であれば「TRUE」を返すという機能が確認できたことになります。
4.IF関数を使って分かりやすい表にする
OR関数もIF関数との併用が可能です。
IF関数の第一引数に作成したOR関数の数式をいれ、分岐を用いて「○」と「×」の場合分けをしておきましょう。
F2セルに数式を入力し、F6セルまでコピーすることで可読性の高い表を作成することができました。
これでOR関数の解説は以上になります。
AND関数とOR関数の使い方 まとめ
今回はAND関数とOR関数についてご紹介しました。
AND関数とOR関数の使い方 まとめ
- AND関数の使い方とその実践
- AND関数とIF関数の併用
- OR関数の使い方とその実践
- OR関数とIF関数の併用
仕事上ではAND関数やOR関数を単独ではなく、IF関数と合わせて使うことが多いです。
とても便利な関数なので、ぜひマスターしましょう!